【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく


「行くぞーーー!!!」


腕に風の刃を創った結の掛け声で全員が動き出す。

物理攻撃を得意とする結、文月、疾風が先陣を切って進み、幻術を使う理津は相手の目眩ましをしながら進む。

静は後方で呪の鎖をまとい、海松と共に治癒や増強、指揮をしている。


「露李、準備は良い?」


露李の手を握り、水無月が訊ねる。


「勿論」


力強く頷くと、兄代わりは目を細めて笑った。


「大きくなったね、露李」


「もう今年で十七だよ、兄様」


「兄様って呼ばれるのも嬉しかったけど、そろそろ兄離れの時期かもね」


「…まだまだ甘えてたいけど。でも、今はそうもいかないね」


「露李。死ぬんじゃないよ」


「そっちこそ。氷紀」


行こうか、という彼の合図で、一度封印していた力を解放する準備を整える。


「出でよ、雹雷鬼!」


「出でよ、炎雷鬼」


凄まじい風が吹き、二人の髪が銀色に、目が金色に染まる。

同時に跳躍し、禍々しい人形に斬りかかる。


───どんな命でも、だなんて。


雹雷鬼を振りながら、露李は笑った。


───私が言えることじゃないのに。

こんな血に塗れた私の手では、何も生み出せないかもしれない。

それでも。


「守りたいものが、あるから……!!!」


戦うのだ。


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