【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

あの優しい兄代わりは、どこにいるのだろう。

あの気の強い友達はどうしているのだろう。


「皆、どこで何をしてるのかな……」


私がいない世界で。



神社の外へ走り出る。

箒を持って、掃いているふりをして。


声が聞こえてくる。

自分を二度と呼ぶことのない声。

呼んで欲しいと、願ってしまう声。


「おい疾風!俺のビスケットどこやった!」


「はあ?お前のビスケットなど知るわけがないだろう」


「はいはい喧嘩しない。結、どうにかしてよ」


「結みてぇなお子様にはわかんねぇよ!」


「はー!?何だと!」


「もー!皆さんやめてくださいよー!」


ああ。

皆変わらない。


良かった。


少しの期待。叶うことはない想い。


彼らが近づいてくる。


少しだけ、顔をあげて。



──幸せそうで、良かった。



彼らと、すれ違う。



思わず俯き、胸の辺りをおさえる。

そうしないと、涙がこぼれてしまいそうだった。


誰も気づかない。

分かっていた。


彼等とすれ違うことが、ただそれだけのことが、こんなにも苦しい。


早く行って。早く行って。


苦しくて仕方ないの────。




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