【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
***


「戻ってきた!」


耳元でした声に、露李はふっと瞼を押し上げた。


「露李っ!!!」


また、白い光が差し込んでいる。



「ここ、どこ……?」


突然の寒さに鳥肌が立ち、ゆっくりと身体を起こした。


「露李っ……」


がばりと大きな身体に抱き着かれ、理解が追い付かない。

けれどそれが水無月のものであるということだけが分かった。


「兄様……?あれ、私」


「……本当に、消えるかと思った……」


弱々しいその声に、申し訳なさでいっぱいになる。

しかし、これはどうしたことだろう。


「馬鹿っ!!」


ぱしん、と頬を叩かれて目を見開いた。


「あれ、美喜」


「あれじゃないわよ!何やってんの!?あたしや皆がどれほどっ……有り得ないわよ!!最低よ!!」


うわああん、と泣きだしてしまった美喜に、露李は水無月の腕の中からおろおろと手を伸ばす。


「ごめ、ごめんね?」


「もうほんと最低!!有り得ない!!」


「露李様っ……!」


横から抱きついたのは海松だった。


「ばかっ、ばかばかっ!何してるんですかっ……」


状況が全く読めずに戸惑う。


「えっと、私。神になったんじゃ……?」


あれ、言うのすごく恥ずかしいなこれ。

気づいて赤面しつつ周りを取り囲んでいた秋雨たちに問う。

汗だくの秋雨は溜め息をついた。

少し怒っているように見えるのは気のせいか。


「……神になるとき、その魂はこの世界から出て行く。出て行こうとするのを、守護者たちは止めに行った。露李姫も出会っただろう」


「どうしてそんなことが……?」


「露李姫と彼等は、力の契約をしただろう。以前、貴女の力を彼らに与えたことはなかったか?」


「……あります」


「それは、契りを結んだことになる。彼らだけが、露李姫を追うことができた。彼らだけが、貴女の造り出した新しい世界に行くことができた」


「新しい、世界?」


「私と水無月、睡蓮と水鳥家の頭領が貴女の力に割り込んだ。露李姫の力は不完全に働き、結果、この世界ではない世界を創った」


信じられなかった。

消え失せたと思ったのに。


「……彼等は、それほどまでに望んだのだ。普通では出来ない」


秋雨はそこまで語り、黙りこんだ。

 

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