【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく


 二人とも無言で皆が集まっているという部屋に行き、結がさっと襖を開ける。

中にいた面々が顔を上げてこちらを見た。


「神影 露李!本日より復帰いたします!おはようございます!」


何故か軍隊のような挨拶をしてしまったが、そこは愛嬌だ。

しかし一瞬だけ見えた大好きな人々の姿は何者かの身体で見えなくなった。


「露李いいいいい!!会いたかったよー!!」


「ひ、氷紀兄様……おはよう。心配かけてごめんなさい」


きちんと左腕と肋を気遣った抱き着き方にいっそ感心する。

工夫すべきところは他にもあってもいいのに。


「しばらく会えなくてごめんね。寂しかっただろうに」


会いたかったのは事実だが、実のところそこまで寂しくはなかったことを言えば水無月は卒倒してしまうだろう。

露李は眠っていることが多かったし、起きているときの世話は大体、海松が美喜がやってくれていた。

曖昧に笑いながら氷紀の腕をはずす。

そして小さな違和感。


「あれ。兄様、少し痩せた?」


少し顔を強ばらせ、水無月が笑う。

目元にはくっきりクマもできていた。


「力を使うことが多かったからね。たぶんそのせいだと思う」


含みのある言い方だった。

そして最近の皆は、見舞いには来てくれても近況を詳しく教えてくれはしない。


じっと見つめて不満を表明してみる。


< 460 / 636 >

この作品をシェア

pagetop