【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく


集まっているのは守護者と水無月だけのようだ。

海松や美喜は朝食の支度をしてくれているのだろうし、秋雨たちはきっと朱音といるだろう。


──その朱音さんがどこにいるか知らないけどね。


皆なにも答えようとしない。


「何かな?露李ちゃん」


じっとりとした視線をぶつけていると、文月が微笑みながら答えた。


「その。私、寝てばっかりだし起きてるときに何か聞いても皆さん教えてくれないので」


「そう。消耗してる俺たちの姫様に余計な気遣いをさせたくないって一心だったんだけどなぁ」


しおらしい台詞とはかけ離れた恐ろしい笑顔で返され、うっと口を閉ざす。

口では文月に勝てそうにもない。


「ホウレンソウは基本ですよっ」


「そっか、長話になるかもと思ってのことだったんだけど」


「う……すみません後で良いです」


撃沈。

そんな言葉が合うほど見事に言い負かされた露李は、がっくりと項垂れた。

しかし、程なくして文月がクックッと笑う声が聞こえてくる。


「ごめん、ちょっとからかいすぎた。座りなよ」


君だけに問題があるわけじゃないからね、という不思議な言葉とともに文月が隣に促す。

が、反対する者があった。


「疾風……?」


ワンピースの裾を無言で掴む疾風に、どうしたのと尋ねる。


「約束が違う」


約束なんてしたかな、と露李の頭にクエスチョンマークが飛び交う。

しかし疾風が言いたいのは露李のことではなかったようだ。

視線の先は文月だった。

加えて、理津も無言で文月に何かを訴えかけていた。

横で静がオロオロと両者を見ている。


「えーと、何だろう。結先輩、状況が分からないんですけど」


「はっ!?」


くるりと振り返ると、まだ火照りが冷めない結は頓狂な声をあげる。


「何て声出してんですか。ねぇ兄様、これどうしたの?」


「さあ、俺もさっき来たところだからよくは…。─貴様ら、早く露李を座らせろ」


「そう。ねぇ疾風に理津。何なの?」


裾を掴まれているままでは動けない。


< 461 / 636 >

この作品をシェア

pagetop