【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
後ろから口に手を回され、塞がれた。


「んんーっ!!」 


「黙っとけ、死ぬぞ!」


次の瞬間、前に一人の男が立っていた。

明後日から露李が通うはずの高校の制服を着ている。
 
百五十五センチの露李と六、七センチ程しか変わらない身長だが、どこか迫力がある。


「おい、出てこいよ。姫様を狙うたぁ、俺たちに会いたくて仕方なかったんだろ?」


何この人自意識過剰、不謹慎にも思ってしまったがそんな場合ではない。


「風雅家の者…か」


突如、そう離れてない場所に、銀髪に眼帯姿の男が立っていた。

悪魔退治のような服装だ。


──常人じゃない。


背筋が冷たくなるようだった。


「俺のこと知ってんだな?」


「ここで無駄に力を使わない方が良いんじゃないのか?」

口調の変わった眼帯男がニヤリと笑う。


「余計な手出しをして、お前も命を落としたくはないだろう?」


聞いた瞬間──後ろ姿しか見えない、風雅という彼が鼻で笑った。


「お前ごときに力なんざ使うかよ!」


訳もわからず彼の背中を見ていると、──身体が浮いた。

「へっ?」


「悪いな姫様!手荒くすんぞ!」


我に返って周りを見渡すと、青、青、青。


「空っ!?」


それよりも風雅の腕に抱かれて空を飛んでいる。


「貴方は…」


「俺は風雅 結だ」


初めて顔を上げて彼を見た。


「綺麗…」


思わず唇から言葉がこぼれ出る。

率直に、そう思った。

翡翠色のその瞳が、風に吹かれた髪が。


「そうだなー。本当に綺麗だ」


憎たらしいくらいな、と微笑む。




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