【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

「あの子にそんな力があるとは思えなかったけど」


「あれだろ、風花姫の血じゃねぇのか?美味そうな匂いがしたしな」


軽く言っているように見えるが、水鳥の表情は後悔そのものだ。

それまで珍しい真剣な顔で押し黙っていた風雅だったが、ぱっと雰囲気を変えた。


「お前ら!シケた顔は止めて行くぞ!露李救出作戦、発動だ!」


四人が顔を上げる。


「よし、この結先輩様について来ーい!」


風雅はふわっと風を起こし、渦を作った。


「全速力!」


そう言うや否やその中を駆け抜けていく。


「了解!」


四人も後に続く。


大地が最後尾で風雅の背中を見つめながらふっつに笑った。


「全く敵わないよ、結には」


「何か言ったか文月ー!」


先頭の風雅が叫んだ。


「いーえ?」


地獄耳、って言うのは帰ってからかな。

大地がひっそりと企んだのを、誰も知らない。



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