【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

苦しい。喉が痛い。

一体どれほど走っただろうか、露李は喉を押さえてその場にしゃがみこんだ。

周りには鬱蒼とした森、森。

暗いので神社の中なのかどうかさえ分からない。

しかし、喉の痛みや足の痛みが気にならないほど露李は絶望していた。


夢だったら良いのに。


そんな仕方のないことを考えて、また自分を嘲笑う。


馬鹿みたい。


未琴の言葉。偽りの記憶を信じて生きてきた自分。

全てが馬鹿馬鹿しい。

涙も出ない。


「あれ、やっぱり風花姫。ビンゴ?」


森の中、異様に響く声。


「誰、」


情けないほどに震えた声。


「俺だよ、昨日会ったでしょ?」


「…眼帯さん」


露李が呟くと、眼帯男は少し笑みを渋いものにした。


「眼帯さん?…センスないなぁ」


返事をする気力もない。


< 52 / 636 >

この作品をシェア

pagetop