【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「よろしく頼むよ」
水無月が薄く笑う。──それが合図だ。
驚くほどの速さで水無月が飛んできた。
風雅は防ぎもしない。
水無月の拳から恐ろしい風圧が巻き起こり、風雅に直撃する。
「はっ、ちょっと効いたぜー?」
数メートル先に着地した風雅の瞳に炎が宿る。
が、
「嫌っ、やめてえええ!!」
「露李、よせ!!」
露李がおぼつかない身体で前に飛び出す。
はっとしたように水無月、風雅の両者が地上を振り返った。
朱雀が露李の身体に触れた瞬間、静電気に似た痺れが指に伝わった。
「傷つけないで、誰も傷ついてほしくないの!!私のために、誰も…っ!!」
いつもの静けさとは程遠い、叫びだった。
聞いているだけで痛くなるような。
悲痛な叫びだ。
「…水無月、行くぞ」
星月夜が静かに踵を返した。
「珍しいな、星月夜」
「まだ序章だ。有明様は、この時点での交戦を望んでいない」
星月夜が口の片端をつり上げた。
「俺とて感傷的になりたくなる時もあんだよ」
「どの口が」
水無月のしかめた顔を最後に、二人の姿は消えた。