【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
遠く、浅く、近く。
*・*・*
「露李、顔ブッサイクだぞ」
山を下りながら結が露李の頬をつついた。
「う、うるさいです!」
かれこれ三十分は泣き、しゃっくりが止まるのを待って三十分。
計一時間を守護者たちは文句も言わずに待ってくれていた。
「大丈夫です、露李先輩。いつもお綺麗ですよ」
静の言葉に周りの気温が三度下がったような気がした。
「な、何で皆その反応なの?」
緊張感や建前が全て無くなった露李の声は晴れやかだ。
「いや、」
視線を向けられた疾風が言葉に詰まる。
「何よ」
強気な露李が衝撃的だったのか、目に見えて固まる疾風。
「お、お前…そんな性格だったか?」
「おー、こいつは本当はすげー強気なやつだぞ!そして変わってる!」
結が事も無げに答えた。
「どういうことですか結先輩!私、そんな変わってる自覚ありません!」
「水無月みたいなあっからさま強そうな敵に『どっからでもかかってこい』だぞー?」
「…恐ろしいな、真似できねぇわ」
「だってあの時は混乱してて!ていうか理津、恐ろしいって何」
「まんまの意味だろ」
「理津。真似はしなくていいと思うぞ?」
疾風が真っ当なことを言う。
「疾風まで!」
「皆さん止めましょうよ、露李先輩はいつでもお綺麗なんですから。気にしないでくださいね、先輩」
──周りの気温が三度下がったような気がした。
気のせいだと思うことにした。
「ありがとう静くん!」
「静、お前はものすごく趣味が悪いな」
「ちょっと疾風、それはどういうことなんだろう」
「大丈夫、お前の耳は正常だ」
「なっ!!」
「はいはい皆その辺で。夜だし迷惑だよ?それに露李ちゃんは泣いた後なんだから叫んだら声嗄れちゃうよ」
エスカレートしそうな言い合いに終止符を打ったのは勿論、文月だ。
今度こそ静かになって歩き出したところで、露李がぴたりと足を止めた。
お決まりのように守護者たちが振り向く。
「どうしたー、露李?」
急に自信がなくなった。
ずっと疎まれてきた自分の性格。
こんな中途半端な所で出して、嫌われてしまったかもしれない。
私の存在価値は【いい子であること】だったのに。
もう私はいい子じゃない。
でも、この人たちに偽りの自分は見せたくない。
「私、こんなので良いの?」
「それで良いんだよバカ」
「自然なお前が一番だ」
「面白ぇしな」
「ほんと、面白いしね」
「どちらの先輩も素敵です」
すぐに返ってきた答えに安心する。
「置いてくぞバーカ」
結の言葉で、露李は笑顔で五人を追いかけた。
「露李、顔ブッサイクだぞ」
山を下りながら結が露李の頬をつついた。
「う、うるさいです!」
かれこれ三十分は泣き、しゃっくりが止まるのを待って三十分。
計一時間を守護者たちは文句も言わずに待ってくれていた。
「大丈夫です、露李先輩。いつもお綺麗ですよ」
静の言葉に周りの気温が三度下がったような気がした。
「な、何で皆その反応なの?」
緊張感や建前が全て無くなった露李の声は晴れやかだ。
「いや、」
視線を向けられた疾風が言葉に詰まる。
「何よ」
強気な露李が衝撃的だったのか、目に見えて固まる疾風。
「お、お前…そんな性格だったか?」
「おー、こいつは本当はすげー強気なやつだぞ!そして変わってる!」
結が事も無げに答えた。
「どういうことですか結先輩!私、そんな変わってる自覚ありません!」
「水無月みたいなあっからさま強そうな敵に『どっからでもかかってこい』だぞー?」
「…恐ろしいな、真似できねぇわ」
「だってあの時は混乱してて!ていうか理津、恐ろしいって何」
「まんまの意味だろ」
「理津。真似はしなくていいと思うぞ?」
疾風が真っ当なことを言う。
「疾風まで!」
「皆さん止めましょうよ、露李先輩はいつでもお綺麗なんですから。気にしないでくださいね、先輩」
──周りの気温が三度下がったような気がした。
気のせいだと思うことにした。
「ありがとう静くん!」
「静、お前はものすごく趣味が悪いな」
「ちょっと疾風、それはどういうことなんだろう」
「大丈夫、お前の耳は正常だ」
「なっ!!」
「はいはい皆その辺で。夜だし迷惑だよ?それに露李ちゃんは泣いた後なんだから叫んだら声嗄れちゃうよ」
エスカレートしそうな言い合いに終止符を打ったのは勿論、文月だ。
今度こそ静かになって歩き出したところで、露李がぴたりと足を止めた。
お決まりのように守護者たちが振り向く。
「どうしたー、露李?」
急に自信がなくなった。
ずっと疎まれてきた自分の性格。
こんな中途半端な所で出して、嫌われてしまったかもしれない。
私の存在価値は【いい子であること】だったのに。
もう私はいい子じゃない。
でも、この人たちに偽りの自分は見せたくない。
「私、こんなので良いの?」
「それで良いんだよバカ」
「自然なお前が一番だ」
「面白ぇしな」
「ほんと、面白いしね」
「どちらの先輩も素敵です」
すぐに返ってきた答えに安心する。
「置いてくぞバーカ」
結の言葉で、露李は笑顔で五人を追いかけた。