【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
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『霧氷様、私は貴方をお慕い申し上げております』


『花姫、私もだ』


愛の告白が頭の中に鳴り響き、露李はがばっと布団から跳ね起きた。

何の夢、と考えるより先に他人の恋を覗いてしまったことに羞恥を覚えた。


いやでも、あれは夢な訳だし。


けれど、花姫と霧氷は以前に未琴の記憶の術で見た人達だった。


何か関係があるのかもしれない。


露李が布団の中で上体を起こしたまま唸っていると、襖に人影が映った。


「露李さま、おはようございます。失礼しても宜しいでしょうか」


海松だ。


「ええ」


露李が返事をすると、ゆっくりと襖が開く。


「おはよう海松ちゃん」


思った以上に自分の声が明るかった。

海松も少し驚いたような顔をする。

しかし、すぐに優しい笑顔になった。


「お元気そうで何よりです。昨日、一昨日と守護者の皆さんが心配なさっていました」


それは初耳だ。


「皆が、心配?」


会ってから三日だ。


「そうですね、例えば風雅様など。『会ったときはあんなに威勢が良かったのに、今は何だ!』とか」


「あー…」


「私も、失礼ながら露李さまは少々気を遣いすぎかと存じておりましたので。しかしながら今日は朝から本当の露李さま。これぞご飯が進むと言うものでございます」


あれ、何だろう。最後の台詞に違和感を感じたのは私だけか。


「あ、ありがとう」

海松がふわりと笑う。


「露李さま、そろそろ学校へ行く準備をなさってください」


「え、もうそんな時間?」


「はい。朝食もできておりますので終わりましたら座敷へ」


「ごめんね海松ちゃん!」


では失礼します、と立ち上がった海松を露李が呼び止めた。


「はい…?」


「庭掃き、サボっちゃって」

首を傾げていた海松が、ああ、と微笑む。


「昨日は露李さまもお疲れになられたことでしょう。お気になさらないで下さいな」


では、と海松が襖の奥に消えた。


よし、着替えよう。


そう露李が立ち上がったときには、もう夢のことなどすっかり忘れていた。





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