【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「あれ、」
液体を拭ってから露李は首を傾げた。
「私、何も覚えてないんですけど…寝言とか、言ってました?何で涙なんか」
「あーあれだろ!涎!」
「よっ…文月先輩、本当ですか!?」
「うん、何も言ってなかったよ」
「何だよ、俺は信用できないってかー!」
「勿論です!」
「ほらほら二人とも行くよ」
思い出さない方がいい──そう思った二人の、優しい嘘だった。
突然、わしゃわしゃと結に頭を撫でられる。
「何ですか!?」
「泣かれると調子狂うわ」
「え?」
突然のことでよく分からない。
「露李ちゃん、何かあったらすぐ言うんだよ」
文月まで真剣な顔で言うものだから戸惑ってしまう。
でもせめて返事くらい。
「はい!」
露李の笑顔に二人はホッとしたように笑い、歩き出した。
オレンジの夕陽が三人の長い影を作っていた。