【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「ただいまー」
玄関扉を開けると、いつものように海松が立って迎えた。
しゃんと伸びた背筋が雅やかだ。
「お帰りなさいませ」
「もう、お出迎えしなくて良いって言ったのに」
正座をしなくなったのも十分な進歩だが、露李はやはり居心地が悪い。
「露李さま、本日の夕食は豚の角煮でございます」
あれ、海松ちゃんそんなスルースキル持ってたっけ。
「本当?豚の角煮ってあんまり食べたことなかったんだけど、楽しみ」
露李の言葉を聞くと海松が嬉しそうに頬を染めた。
「コラーゲンがたっぷりなので、お肌にも良いんですよ」
「海松ちゃん物知り」
「滅相もございません、露李さまに良い食事を召し上がって頂くためでございます」
「海松はとことん尽くすタイプだな」
結がため息をついた。
この間、台所で最高級の豚肉を見つけたのはこのためか。