【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
ガラリと扉が開いた。


「露李様、ですね?」


中から出てきた着物姿の少女がふわりと微笑む。

露李と同い年くらいの娘で、青緑の帯に濃い紫の着物が落ち着いた彼女の雰囲気によく似合っている。


「なぜ分かったのですか?」


敷居を跨いだだけで扉が開いたことが不思議でならない。

何でこんなタイミング良く開けるんだろう。

露李は首を傾げた。


「勿論ですわ、風花姫様ですもの」


──また。

風花姫だということがどれ程に重要なのか。

自覚のない自分に、様だなんてつけないで欲しい。

そんな柄ではない。


「申し遅れました、私、神影神社の巫女であり分家筋の葉月 海松(はづき みる)と申します。滞在中のお世話をさせて頂きます」


「神影 露李です。宜しくお願いします、海松さん」


露李が笑顔でそう言うと、海松は慌てて手を振った。


「露李様、呼び捨ててくださいませ!」


「それなら、海松さんも呼び捨てて頂きたいです」


海松の顔が朱に染まる。


「露李…さん。未琴様はこちらです」


彼女にとっては大きな譲歩なのだろう、さん付けで呼んで踵を返す。


玄関の戸が大きく開き、中に入った。

 
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