【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

「その通りです。そしてそれを裏付ける事実もまた、存在しています」


未琴の鋭い眼光が露李に刺さった。

青の光を纏うその手が露李に向けられる。


「何をなさる気ですか!」


五人が思わず立ち上がり、露李を囲んだ。


「おどきなさい」

氷のように冷たい声に五人の瞳が揺れる。


「大丈夫だから、皆」


沈黙を破ったのは露李だった。

にっこりと、笑顔で守護者たちを見上げている。


「ありがとう」


守りたいのに。守りたいのに、守れない。


五人の悔しさが伝わってくるようだ。

悔しそうな表情の疾風が再び露李の横に座る。

他の四人もそれに習った。


「悪、い」


疾風のかすれた声。


「申し訳ありません、未琴様」


露李のそれには答えず、未琴がもう一度手をかざす。


「現出」


その一言で、青い光が露李に向かってきた。


爆発音。


「ああああああ!!」


バチバチと火花が跳ねるような音と不本意な悲鳴が重なる。

星月夜と水無月の攻撃にも耐え抜いた露李が、悲鳴を上げている。

痛い。ドクドクと血の巡りに合わせて走る痛み。


耐えなきゃ、耐えなきゃ、皆にこれ以上心配を、この声だけでもきっと、皆は酷い顔してるから──。


まとまらない考えだがしかし、それが露李の意志だ。


露李の身体が青い光に包まれ、それは唐突に終わりを迎えた。


「露李っ!!」


疾風と理津、静が露李に駆け寄る。


「──どういうおつもりですか」


結と文月が未琴を見据える。


「ご覧なさい」


顔色ひとつ変えない未琴が、露李の首の辺りを指差した。

見ると、金色の紋様が首飾りのように連なっている。


「紋だね」


「そうです。風花の力を持つものは、同じ属性の力をぶつけられると紋が現れます。しかし、ここまでしないと現れないとは…その上防ぐこともしないとは」


結の目が怒りの色を含んだ。

未琴は満足したように露李を一瞥すると、立ち上がった。


「覚醒を促すのです。分かりましたね。それでは下がりなさい」


露李はかろうじて意識を繋ぎ止めていた。


「立てるか」


「うん」


疾風と理津に支えられ、部屋を出た。




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