【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
長い長い廊下をどのくらい歩いただろうか。

風雅が痺れを切らしたように盛大な溜め息をついた。


「しっかし広いよなー、神影家は」


「そうですね…」


露李も緊張が薄れてげんなりしてきている。


「ここです」


やっと海松の声がかかった。

また緊張が戻ってきた。

露李の身体が硬直したのに気がついたのか、風雅が彼女の頭に手を置いた。


「そんな緊張するようなもんじゃねーぞ。大丈夫だ」


「はい」


「未琴様、海松です。露李様が戻られました」


海松が襖を少しだけ開けて中の人物に声をかけた。


「ご苦労様、海松。露李、お入りなさい」


厳格そうな女性の声だ。

結先輩はどうするんだろう?

恩人を置いていくことに戸惑っていると、またさっきの女性の声が言った。


「結は巡回に戻りなさい。夕食の際に紹介します」


「分かりました」


風雅はクルリと背を向けて玄関に戻っていった。


「失礼します」


襖を開けて中へ入ると、

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