【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「お母様!?」

巫女の里で別れてきたはずの母親が畳に座っている。


「露李、少しぶりね」


果たしてこれは自分の母親なのだろうか。

露李は訝しげに目を細めた。

こんなに厳格な話し方はしなかったし、こんな冷たく自分を見据えることはなかったのに。


「お母様どうして、」


「お座りなさい」


言われるがままに正座する。


「ずっと貴方の傍で隠してきましたが、私が先代の風花姫です」


「お母様が…?」


まだ露李の母は引退には年も若く、それこそ引退の必要性を感じない。


「そうです」


「なぜ、もう風花姫の座を退くのですか…」


「貴女がいずれ覚醒するだろうからです」


淡々と答える母に露李の心がしめつけられた。

まるで、まるで他人みたいな。


「おかしいです。私は分家の娘よりも力が劣り、術式で精一杯なのですよ」


親類たちが色とりどりの光の玉を出しているのを何度も見てきた。

周りに力を隠すのに苦労している、そんな悩みがどんなに羨ましかったか。

直系の自分がどれだけ歯痒い思いをしたか。

露李は俯いて唇を噛んだ。
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