クロ * Plan of betrayal * Ⅲ
十数年も前のことを覚えている可能性のほうが遥かに低かった
…それでも、この人は。
「ええ、もちろん。
〇△病院で産まれた白くんと青くんでしょう?」
ふわりと微笑んで和やかにそう言った
正直信じられなかったけど、俺らには都合がよかった。
「はい。そうです。
…あの、失礼ですが、何故十数年も前の俺たちのことを覚えてくださっているんですか?
これまでにも何十、何百との子供を見ているでしょう??
もしかして、全て覚えているんですか?」
いくら都合がよかったとはいえ、聞かずにはいられなかった
たかが普通の子供のことを、いくら双子だからといって覚えているのはありえなさすぎる
「いいえ。まさか。
確かに今まで赤ちゃんはかなりの数を見てきたけれど、ちゃんと覚えてるのはあなたたちくらいよ」
「「え?」」
なんで俺たちだけ…
そんな思いが顔に出ていたんだろう。
七菜子さんはふふっと笑ってから、だって…と言葉を続けた
「あんなに珍しい赤ちゃんは初めてみたんだもの。
印象的で忘れられないわ」
…珍しい子供?
ますます意味がわからなくなってきた