クロ * Plan of betrayal * Ⅲ
「…姉ちゃんを拾った人がいるなら、名前なんかわからなかったでしょ?
姉ちゃんはこの街にいても、名前は夜明黒じゃない。
………そう簡単に見つかるはずがないじゃん」
捨てたのなら名前なんざ関係ない。
そうそう見つかるはずがないんだ
「…ねぇ、父さんは姉ちゃんが捨てられてから今までずっと探してたの?」
「………ああ」
「…何か手がかり見つけたの?
この数十年なにも無かったの?」
「いや、多少のことだが一応…」
あるんだ。
「あるのか!?」
「…本当に些細なことだけどな」
それでも、僕たちはどんな手がかりでも欲しい。
「何でもいい!知ってること全部教えて!!」
「……俺が調べて分かったことは、黒はこの県に居て、生きているということだけだ。」
「この県に…?」
姉ちゃんがこの県に?
そんなに近くにいるの??
「…ああ。
この街にいるかもしれないし、遠くの街にいるかもしれない」
「それ、何処からの情報?
信じられるのか??」
どこの街、と詳しく言えないのは他人からの情報だからだ。
それを父さんが信じているということは、その人は信頼できる人なのだろう