ユルコイ
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『入学して、城崎と話したっけ』

「これが初めてだと思う」

『近寄りがたいイメージあったし、
 話せて良かった。』



'近寄りがたい'なんて言われ慣れた。
いつも教室の隅っこで佇んでる
座敷わらしみたいな女の子になんて
誰も好きで近づかない。

けど、それが良かった。
一人の空間が好きだった。



『城崎って、下の名前なんて読むの?』


私の名札をじっと見つめ、難しー!なんて
言いながら頭をかく久保くん。


「星蘭、せいらだよ。」

『星蘭...せいらって読むのか!』


可愛い名前だな、って言って歯を見せて笑う。
きっとこれが女子の胸を打つ笑顔なんだろうな。



名前が褒められただけなのに、

少し胸がときめいたのはきっと

少し胸が苦しく息苦しいのはきっと



この止まない雨のせいだろう。



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