たった一つの約束さえない恋




目を覚ました時、


病院のベッドの横に彼が座っていた。





『………分かる?』



彼に問いかけられ、病院にいること、彼がいることは分かる。



でも何故彼がここにいるのかが分からない。




かろうじて動く範囲で首を横に振る。


“何故、あなたがいるの?”


そう、問いかけたつもりだった。





『お前、勝手に告白して倒れたんだよ』




“勝手に告白”とは随分な言い方だ。


でも彼は私に分かりやすいように、私とあの子との接し方の違いを分からせようとしてる。


私は彼にとって大事な女でもなければ、優しく接したいと思わせる女でもない。




『ごめんな。
 俺、あやのことが好きなんだ。

 あやも俺を好きでいてくれてる。

 俺、あやを裏切りたくない、だから』




彼の言葉に、私はニコッと笑う。

その行動に、彼は言葉を止める。





『最初から知ってる。

 でもね?
 なかなか気持ちに踏ん切りがつかないの。

 だから、だから…
 私、二番目でもいいから、私の想いにケリがつくまで…一緒に居させてほしい…』



この身勝手なお願いをする私は彼になんて思われているのだろうか…。





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