たった一つの約束さえない恋
『私が無理を言った、あの日から…
あの子に“好き”って言わなかったでしょ?』
噂であの子が不安になっていることを聞いた。
あの子が一番の彼、そんな彼があの子に飽きた訳じゃない。
『……私が言わせてたから…。
あの子に一番言いたいことを私が言わせてたから、同じ言葉をあの子には言えなかったんだよね?』
だって、彼は言っていたからー…
あの子に初めて告白をしてOKをもらった時。
「今は“好きです”の言葉を言うのに精一杯だ。
本当は好きよりもっと、それ以上の想いだけど…。
だけど、いつかは言いたい。
たった一人の、俺の一番大事な人に、プロポーズをする時に“愛してる”って」
…そう、照れながらも話してくれた彼は、
きっと、今まで見てきたどんな彼よりも一番輝いていた。
『……ねぇ?
今、あんたの一番大事な人はさ…。
今も、あの子?』
『うん、俺の一番大事な人は“あや”だけ。
片想いの頃より、付き合えた時より、今、心から想う、あいつが俺の一番だって』
すっごい真剣な表情で話してくれた彼。
だから私は心から想うよ、君とあの子がいつまでも幸せでいてほしい、って。