たった一つの約束さえない恋




『幸せになれよ』



『あんたもあの子と幸せになんなよ!
 てか…世界で一番、幸せな女にしなかったら殴りに行くからね!』





私があんたを諦めてやるんだから。


あんたは絶対に幸せになってよね。







『約束するよ、あやを世界で一番、幸せな女にするって』



彼は照れ笑いしながら、私に約束をくれた。




彼と交わす、最初で最後の約束。



私ね、あんたとの約束があるから。

絶対にあの子よりも幸せな女になるから。




そうしたら、

勝ち誇った顔で言ってやる。



“あの子以上に私を幸せにしてくれる人と出会えたよ”って。


嫌みっぽくでもいっか。




でも、絶対にあんたとあの子より幸せになってやるから、あんた達も負けないでよね。



私が好きになった、

私の一番大好きだった、

唯一の人。









END








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