本当の答え
 こんな私が死んだらところで、何万人、何億人の人は知らないし、何も変わりはしないのだ。
 誰もが笑っていられる。そんな夢みたいな、おとぎ話みたいなことがあればいいのにな。目の前で大切な人を失ったら、その人はどんな気持ちなのだろう。失ってみないと分からない。けれども失いたくない。自分勝手な考えなのはわかる。
 別に死ぬことなんか少しも怖くなんかない。そんなの遅かれ早かれ誰にだって来るものなのだから。
 だとしても、置いていかれるのは嫌だ。一人にされて、一生を悲しみを背負って過ごすだなんて考えたくない。
『……………』
 私は、またぼーっと青く清んだ秋晴れの空を眺めていた。
 人間関係とか、面倒なもの全てがなくなって、スッキリした世界だったらいいのにな。
 汚い嘘も、泥のようによごれてしまった感情たちも。
 何もかも無くなってしまえば、夜に輝く綺麗な星見れるかもしれない。そんな、青く清んだ生命体だったらいいのにな。
 不意に先生が立ち上がる。
『先…生……?』
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