アタシはイレモノ
お風呂から出ると、あたしは髪を乾かしてそのまま自室へと向かった。


まだ夜の11時前だけれど、久しぶりに沢山遊んだから疲れてしまった。


布団に入るとすぐに瞼が重たくなり、あたしはあっという間に眠りについたのだった。


眠っている間、これは夢だと気がつく事が時々ある。


この日見た夢もそうだった。


途中までは夢だと気が付かなかったけれど、あの灰色のヘビが出て来た途端あぁこれは夢なんだとわかった。


夢の中であたしは今日行ったたこ焼き屋の前にいた。


周囲を見回せば栞理やケンジ君もいて、これから起きる出来事が想像できた。


ケンジ君がスッとヘビに近づいていく。


あたしは咄嗟に「やめて!」と、叫んでいた。


ケンジ君は驚いたような顔を浮かべてあたしを見る。


しかし、「大丈夫だよ」それだけ言い、ヘビへ向かってまた歩き出したのだ。


そして、昼間見たようにケンジ君がヘビを踏みつぶそうとする。


その瞬間だった。


ヘビが大きく口を開けたのだ。


口の中に鋭い牙が見え、唾液でヌラヌラが輝いている。


誰も何かと言う暇もなかった。


次の瞬間にはヘビの牙がケンジ君の足に突き刺さっていたのだ。
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