アタシはイレモノ
「どうぞ」


あたしは川上君を自分の部屋に入れた。


付き合ってもいない異性を部屋に入れるのは、これが初めてかもしれない。


でも、川上君が相手ならきっと大丈夫だ。


勝手な直感だけれど、そんなふうに思う。


それに川上君に何かされてもきっとあたしは抵抗しないだろう。


そのまま付き合い始める事ができれば……なんて、汚い気持ちも多少はあった。


しかし、川上君は学校で接するのと全く同じ態度を崩さず、部屋に2人きりという意識はないようだった。


それはそれでホッとするけれど、やっぱり寂しい気持ちが強かった。


川上君からすればあたしは沢山いるファンの子の1人。


特別な存在でも何でもないと言う事を、思い知らされる。


「川上君って、好きな女の子のタイプとかあるの?」


思い切ってそう聞いてみると、川上君は躊躇することなく「あるよ」と、頷いた。


その返答にあたしの心臓は跳ね上がる。


期待と不安が混ざり合い、川上君を直視できなくなる。


あたしは視線をテーブルに伏せて、こう聞いた。
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