アタシはイレモノ
噂話
ケンジ君の葬儀は小さな会館で行われていた。


制服姿の同級生たちが列をなしていて、その中には一緒に遊んだ面々もいた。


ケンジ君と最後に遊んだのが自分たちだったと言う事で、みんな神妙な面持ちをしている。


「ケンジは優しくて強い友達だったんだよ」


列に並んでいる最中、栞理が小声でそう言ってきた。


「そうなんだ……」


チラリと栞理を見ると、その目には涙が浮かんでキラキラと輝いている。


綺麗な栞理の涙はとても儚いものに見えて、あたしは少し不安になった。


「菜月も、せっかくケンジといい雰囲気になってたのにね」


そう言われ、あたしはケンジ君の笑顔を思い出していた。


ケンジ君の事なんてほとんど知らないのに、それだけで涙が浮かんできた。


人が死ぬと言うのはこれほどまで辛い事なんだ。


あたしはお焼香の順番が回ってきてもケンジ君の遺影をしっかりと見ることができなかったのだった。
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