アタシはイレモノ
☆☆☆
ケンジ君が乗った霊柩車がクラクションを鳴らしながら走って行く。
あたしと栞理はそれを見送り、そして小さく息を吐き出した。
馴れない緊張状態での疲れと、喪失感に包まれている。
「結局、ケンジを襲った動物がなんなのか、まだわかってないんだろ?」
どこからかそんな声が聞こえてきて、あたしは視線を泳がせた。
すると、会館の入り口付近に遊んだメンバーの男子たちがいた。
「飼っていた動物が逃げ出したっていう連絡も、まだ入ってきてないらしい」
「野生動物でもないんだろ?」
「あの辺に森や林はないから、人間を食べるほど大きな動物は生息していないんだってよ」
話の内容からすると、ケンジ君を襲った動物はまだ捕まっていないようだ。
そんな動物がまだ野放しになっているのかと思うと、背筋がゾクッと寒くなった。
「菜月、行こう」
不意に栞理があたしの手を握った。
「え?」
「ここにいてもケンジは戻ってこない。もう帰ろう」
栞理は力なくそう言い、歩き出したのだった。
ケンジ君が乗った霊柩車がクラクションを鳴らしながら走って行く。
あたしと栞理はそれを見送り、そして小さく息を吐き出した。
馴れない緊張状態での疲れと、喪失感に包まれている。
「結局、ケンジを襲った動物がなんなのか、まだわかってないんだろ?」
どこからかそんな声が聞こえてきて、あたしは視線を泳がせた。
すると、会館の入り口付近に遊んだメンバーの男子たちがいた。
「飼っていた動物が逃げ出したっていう連絡も、まだ入ってきてないらしい」
「野生動物でもないんだろ?」
「あの辺に森や林はないから、人間を食べるほど大きな動物は生息していないんだってよ」
話の内容からすると、ケンジ君を襲った動物はまだ捕まっていないようだ。
そんな動物がまだ野放しになっているのかと思うと、背筋がゾクッと寒くなった。
「菜月、行こう」
不意に栞理があたしの手を握った。
「え?」
「ここにいてもケンジは戻ってこない。もう帰ろう」
栞理は力なくそう言い、歩き出したのだった。