アタシはイレモノ
☆☆☆

それから30分くらい経過して買い物を終えたあたしと亜耶は外へ出た。


出入り口の付近に川上君の姿がある。


が、彼はなにも買わなかったのか、買い物袋を持っていない状態だった。


「おまたせ、何も買わなかったの?」


あたしがそう聞くと川上君は頷いた。


「あまりいいものがなくって」


「それなら先に帰ってくれてもよかったのに」


亜耶が呆れたように言う。


川上君は亜耶と一緒に帰りたかったんだろうと、あたしは推測した。


2人の邪魔をしたら悪いような気がして、あたしは少し離れた場所から歩き始めた。


陽はすっかり沈んでいて、遅い帰りにお母さんが心配しているかもしれなかった。


それなのに、途中で亜耶は立ち止まり、そして振り向いた。


「あたし、まだ寄る所があるから」


「え? これから?」


あたしは目を丸くする。


今日はもう十分遊んだはずだ。


「個人的な用事だから、菜月は川上君に送ってもらうといいよ」


と、亜耶。
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