アタシはイレモノ
実際に告白された経験があるなんて知らなかったから、動揺してしまった。


あたしは飼空く咳払いをして気を取り直した。


リストを見ていても、あたしが知っている名前は出てこない。


ただ、一番最後に丸尾先輩の名前が載っていたくらいだった。


ザッと最後まで目を通し、ホッと肩の力を抜いた。


「これだけじゃ亜耶のバックに暴力団がいるとはわからないね」


あたしは安心してそう言った。


栞理が決定的な証拠を持ってきたらどうしようかと、内心ドキドキしていたのだ。


「それはそうかもしれないけれど、これだけの人数がいなくなるのは異常だと思わない?」


「……確かに、そうだけど……」


強い口調になる栞理にあたしはうつむいた。


このリストだけでも100人を超える人たちがいなくなっていることになる。


この街ばかりではなく、他県の住所も多かった。


もし、行方不明者がこの街に偏っていたとすれば、ニュースにも大きく取り上げられたことだろう。


このリストを見る限り、まるでそれを避けるように相手を選んでいるようにも見える。
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