アタシはイレモノ
告白を受けた時、亜耶は一体何をしているのだろう?


仮に暴力団関係者が出てきていたとしても、亜耶があんなふうに疲れた顔をするのはおかしい。


それに、丸尾先輩の時は校内だった。


校内に暴力団が侵入し、生徒を1人連れ去っていればさすがに気が付くはずだ。


「菜月、冷めるよ?」


栞理に言われてハッと我に返ると、目の前のドリアが冷め始めていた。


スプーンでかき混ぜて口に運ぶと、ちょうどいい熱さになっている。


「栞理は本当に……亜耶の後ろにいると思ってるの?」


言葉を探しながらあたしはそう聞いた。


「どうかな……。少なくともなんらかの関与はあると思ってる」


あたしの質問にそう答え、栞理はパスタを食べた。


なんらかの関与。


それはあたしも否定できない所だった。


ここまで大人数が亜耶に告白して行方をくらましている。


関与していないと言い切る方が難しいだろう。


でも、栞理の言うような暴力団だとはどうしても思えなかった。
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