アタシはイレモノ
その時1つの事を思いだしてあたしは「あっ」と、口走ってしまった。


「なに？」


「いや……なんでもない」


そう言うが、栞理はジロジロと疑いの目をあたしへ向ける。


「隠さないでよ」


栞理に言われ、あたしはグッと押し黙っていた。


亜耶に敵対心を持っている栞理にはあまり言いたくない事だったのに……。


でも、これもなにかのヒントになるかもしれない。


「実はね……川上君は亜耶の事が好きらしい」


あたしがそう言った瞬間、栞理の目が大きく見開かれた。


それと同時に息を飲む音が聞こえてくる。


「それ……誰から聞いたの？」


「川上君本人から」


「……そう……」


栞理は視線をパスタへと落とす。


しかしもう食べる気はないらしく、フォークが置かれた。


「で、気になったんだけど。川上君ってそういうの簡単に口に出す人なんじゃないかなって思うんだよね」
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