アタシはイレモノ
「なぁんだ、そうだったんだ」


川上君は照れくさそうに頭をかいた。


亜耶も、田口君なら失踪してしまっても噂はすぐに風化すると思ってキスをしたんだろう。


あたしは勢いをつけて立ち上がった。


「見ててよ? ここへ戻って来た時にはあたしもとびきりの美人になってるから」


「……うん。そうだね」


川上君が微笑む。


「偽名は……そうだなぁ。川上アナって名乗るよ」


そう言うと、川上君がおかしそうに笑った。


「素敵な名前だね」


「でしょう?」


あたしは自信満々にそう言った。


そしてもう1つだけわからないままの疑問をぶつけてみることにした。
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