アタシはイレモノ
少量ではない、狭い範囲だが血だまりができるくらいの量だ。


「どうする? 警察に通報しようか?」


そう聞かれ、あたしは一瞬言葉に詰まった。


この量の出血を残していなくなるなんて、ただ事ではない。


もしかしたら声をかけてきた先輩に無理矢理……そこまで考えて、あたしは頭をブンブンと振って考えをかき消した。


そういえば先輩はどこへ行ったんだろう?


亜耶を残して逃げてしまったのだろうか?


そう思うと、余計にここで悲惨な事件が起こったようにしか考えられなくなってくる。


「あたし、友達に連絡をとってみます。それで返事がなければ自分で警察に通報します」


「そう? あなた1人で大丈夫?」


「はい。ありがとうございます」


あたしはそう言い、女性に頭を下げた。


もし何かの事件だったら、亜耶の気持ちを優先したい。


他人に知られたくないと思い、ここからいなくなったのかもしれないし。


そう思い、あたしはゆっくりと公園を後にしたのだった。
< 33 / 275 >

この作品をシェア

pagetop