アタシはイレモノ
「別に、嫌じゃなかったよ」


「そうなんだ……」


それなら、あたしも聞いていいかな?


そんな思いがよぎる。


でも、口には出さないでいた。


すると亜耶がスッとあたしの前に出た。


「川上君は、彼女いるの?」


下心なんてまるでない亜耶の声が聞こえてきてドキッとする。


亜耶に隠れて川上君が見えないけれど、あたしは 耳をそばだてていた。


「彼女は……」


川上君の声にドクンッと心臓が高鳴る。


「いないよ」


ハッとしてあたしは顔を上げた。


「好きな子は?」


続いて亜耶が聞く。


「それも、今のところいないよ」


川上君……彼女いないんだ……。
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