アタシはイレモノ
あたしがそう言うと、栞理はあたしを睨みつけて来た。


あたしなんて入っていい場所じゃない。


そう言われているような気がする。


でも、そんなのあたしだってわかってるんだ。


川上君のファンクラブの子たちはみんな可愛くて綺麗だ。


だから栞理も一緒に会話することを許しているんだ。


「俺はいろんな子と話をしてみたいな」


ピリピリとした空気を破ったのは、そんな川上君の言葉だった。


あたし以外の全員が川上君の言葉に顔色を変えた。


嫌がっているのが空気を通じて伝わって来る。


「古川さんは校内案内もしてくれたし、個人的にはすごく感謝しているんだ」


そう言ってくれる川上君に胸の奥がキュンッと切なくなった。


あぁ……。


やっぱり好きだなぁ……。


これだけのライバルたちを前にしても、そう再確認させられる。


川上君も見た目だけじゃなく、何か惹かれる理由があるような気がする。


川上君にそう言われて反論する子は1人もいない。


それはもちろん川上君に嫌われたくないから我慢しているだけだけれど、あたしは輪の中に入れたことが嬉しかった。


亜耶の方へと視線を送ると、亜耶が軽くウインクをしてきた。


あたしはほほ笑み、口パクで「ありがとう」と、言ったのだった。
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