アタシはイレモノ
「あたしは菜月がいればそれでいいのぉ～！」


亜耶はそう言いあたしに抱き着いてきた。


背の高い亜耶は中腰になり、あたしはまるで男の子に抱きしめられているような感覚になってドキドキしてしまう。


亜耶はいつも髪からシャンプーの香りをさせていて、それが鼻孔をくすぐった。


本当に、なんでこんなに美人があたしの親友？


と、疑問を感じてしまうほどだ。


転校生の話題で会話が弾んでいると、いつの間にかホームルームの時間になっていた。


チャイムが鳴り、慌ててそれぞれの席に座る。


あたしの席は廊下側の一番後ろ。


亜耶の席はあたしの2つ前だ。


後ろから見ると、亜耶の長い髪の毛が艶やかに光るのが見える。


染めているわけじゃないから、全然痛んでいないんだ。


「いいなぁ」


あたしは呟き、自分の髪に触れた。


あたしの髪はゴワゴワしていてまとまりにくいから、年中ショートカットだ。
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