アタシはイレモノ
それも、ワックスをつけて無理やり押さえつけているような状態。


同じ人間なのにどうしてこんなに違うんだろう。


亜耶はハーフなんだから違いがあっても仕方ないのに、そんな事を思ってため息を吐き出した。


その時だった。


前のドアが開いて担任の先生が入ってきた。


50代半ばの男の先生は浦丸という苗字で、みんなからはウラシマという愛称で呼ばれている。


ウラシマが教室へ入るや否や、岡田栞理（ｵｶﾀﾞ　ｼｵﾘ）という生徒が席を立った。


「先生！　今日は転校生が来るんでしょう？」


栞理の発言にウラシマが立ち止まる。


「なんだ、もう知っているのか」


「もちろんです！」


栞理が満面の笑顔でうなづく。


栞理は亜耶に負けないくらいの美人だけれど、イケメンが大好きだという噂が絶えない。


それに、亜耶の生まれつきの美しさとは違い、化粧などで作られた美しさだ。


栞理本人もそれを自覚しているのか、あまり亜耶には近づかないようにしているようだった。
< 8 / 275 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop