私を思って
急ぎたい。でも、走ってまた喘息でも起こしたら、それでこそみんなに迷惑をかけちゃう
10分後
「あゆむくん!」
病院の中庭のベンチに座っているあゆむくんのもとへ駆け寄る
「あかねちゃん!走るなって!」
「へへっ。あゆむくんを見つけたらつい…」
今日のあゆむくんはいつもと違って私服だった
白のVネックの半袖にGパンの裾を折り、腰に赤チェックのシャツを巻いている
いつもはスウェットしか見たことなかったから
「あゆむくん…」
「ん?」
かっこいい。なんて言ってしまいそうになった
「あかねちゃん、今日は髪をおろしてるんだね」
「あ、寝坊しちゃったから、巻こうかとも思ったんだけどね。へへ」
「俺はこれが好き」
「え」