私を思って




急ぎたい。でも、走ってまた喘息でも起こしたら、それでこそみんなに迷惑をかけちゃう





10分後




「あゆむくん!」



病院の中庭のベンチに座っているあゆむくんのもとへ駆け寄る



「あかねちゃん!走るなって!」


「へへっ。あゆむくんを見つけたらつい…」


今日のあゆむくんはいつもと違って私服だった


白のVネックの半袖にGパンの裾を折り、腰に赤チェックのシャツを巻いている


いつもはスウェットしか見たことなかったから



「あゆむくん…」



「ん?」



かっこいい。なんて言ってしまいそうになった


「あかねちゃん、今日は髪をおろしてるんだね」


「あ、寝坊しちゃったから、巻こうかとも思ったんだけどね。へへ」


「俺はこれが好き」

「え」
< 12 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop