私を思って
「ちょっと話そっか」


私達は砂浜のベンチに座った



梅雨にも関わらず人は少なからずいた


「あかね…」




え…



「っていい名前だね」





呼び捨てにされたからびっくりした





「名前かぁ。…あかねって名前はね、お母さんが好きな花の名前から来てるの。でも、私はこの名前あまり気に入ってないんだ…」


「どうして?」


「あかねの花言葉って知ってる?」


あゆむくんは首を横に振った


「あかねの花言葉はね、媚びとか誹謗、傷なんだよ。なんか、マイナスな言葉ばっかりだよね」



「そんなんだ…」



「あゆむくんの名前の由来は何?」


「俺は、歩くに夢って書いて、夢に向かって歩んで欲しいって母さんがつけた」



いい名前…



「かけるは?」


「かけるは、羊に羽って書いて、夢に向かって羽ばたいて欲しいって父さんがつけた」


私は思わず吹いてしまった



「似てるね」



「でしょ!」



「仲がいい夫婦なんだろうね。二人の両親は」



「まあね」




「あゆむくんの夢は何?」




「俺の夢は…かけるの夢が叶うことかな」



本当に弟想いのいいお兄ちゃんだな…



「もし、かけるの夢もあゆむくんの夢が叶うことだったらお互い自分の夢を叶えることになるね」




何を言っているのか自分でも分からなくなってきた…





「それはないかな…」




「なんで?」




「かけるには夢があるんだ」



かけるに夢…



「小さい頃から俺にだけ話してくれてた」



なんだろう



聞いてもいいのかな



「俺があかねちゃんに話したって秘密にしてくれる?」


「うん!約束する!」


「かけるはね、、、」














知らなかった

そんなこと全然知らなかった






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