【超短編 14】夢落ち
夢落ち
 友人を殺す夢を見て目を覚ましたら、隣で友人が死んでいた。
 という夢を見た。
 今日は朝から取引先の会社に挨拶回りをしてから出社する予定だったので、少し時間に余裕があった僕は昨日の夜に面倒くさがってシャワーを浴びなかった分、ゆっくりお風呂に入ろうと考えた。
 三点ユニットのバスタブにお湯をためながら新聞を読みつつ便座に座る。
 一面を飛ばして社会面、経済面と順々に読んでいき、三面記事あたりに差し掛かったところでお湯が溜まった。
 僕は新聞を洗面所に放り投げ下着を上からぶら下げた小さな洗濯籠に入れると、そのまま湯船に入り込んだ。
 遅くまで一人で飲んでいたアルコールが僕の毛穴から吹き出ているような感じがしてとても心地がよい。ぼんやりとした頭を上半身から引きずるようにお湯の中に沈めていき三十秒数えてから顔を出した。
 しずくが髪を伝ってぽたぽたと流れ落ち、湯船にいくつかの波紋ができる。
 髪の毛もだいぶ伸びてしまった。
 
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