【短編】ソーソー教の教祖様
プアァー、と背中に音の波が押し寄せてくる。

あたしはお皿を洗いながら、うるさいなぁ、と顔をしかめた。

その背後で、ドレミファ、と音が続く。

そして……ド。

「あー!! もうヤダ!! なにこの楽器? 壊れてんじゃねーの!」

振り返らなくてもわかる。

けれど、洗い物も終わってしまったので、仕方なく振り向く。

そこには、金色のトランペットを右手で振り回すカズオの姿。

数秒見つめると、癇癪(かんしゃく)は終了した。

大きく息を吸って、またマウスピースを口に寄せる彼。

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