君に届かない。
「日野先輩なら知ってると思いますけど、葵は本当に優しい子です」
(憎いくらいに)
「『告白は断るつもりなんだけど……私が行かなければ、先輩をずっと待たせることになる。でも行けば期待させてしまう。』そう言って、私は言伝てを頼まれました」
(スラスラと息をするように出る嘘。)
「私は……直接言った方が良いと思いました。けど、それは私の意見だから。決めたのは葵だから、こうして私はここにいます」
(よくもまあ、こんなに平然としてられるもんだね。)
泉は自分で自分を嘲笑した。純粋100%のような葵とは雲泥の差。
葵なら、絶対に直接断りに来る。告白されたことに対し誠意を持って答える。それが彼女だ。
話を聞き終え、大和は何かを考えるように俯いた後、「そうなんだ……」と呟いた。やっぱり、ショックは大きいようだ。
泉はそのことに一先ず安心したが、言うべきことはまだ全て言い終えていない。
(……まだだ。嘘に嘘を塗り重ねて覆い隠せ。)
泉は続けた。
「これは……葵の友達としてのお願いです。どうか、先輩が葵に告白したこと、そしてそれを葵が断ったことは誰にも言わないで欲しいんです」
(憎いくらいに)
「『告白は断るつもりなんだけど……私が行かなければ、先輩をずっと待たせることになる。でも行けば期待させてしまう。』そう言って、私は言伝てを頼まれました」
(スラスラと息をするように出る嘘。)
「私は……直接言った方が良いと思いました。けど、それは私の意見だから。決めたのは葵だから、こうして私はここにいます」
(よくもまあ、こんなに平然としてられるもんだね。)
泉は自分で自分を嘲笑した。純粋100%のような葵とは雲泥の差。
葵なら、絶対に直接断りに来る。告白されたことに対し誠意を持って答える。それが彼女だ。
話を聞き終え、大和は何かを考えるように俯いた後、「そうなんだ……」と呟いた。やっぱり、ショックは大きいようだ。
泉はそのことに一先ず安心したが、言うべきことはまだ全て言い終えていない。
(……まだだ。嘘に嘘を塗り重ねて覆い隠せ。)
泉は続けた。
「これは……葵の友達としてのお願いです。どうか、先輩が葵に告白したこと、そしてそれを葵が断ったことは誰にも言わないで欲しいんです」