君に届かない。
(もっと悔しそうにしてよ。もっと私に劣等感を抱いてよ。それが無いならせめて……私を、ライバルだと認めて。)



泉はこんな屈折した想いを誰にも言わない。言える程の相手もいない。



(……でも、今度こそ葵は悔しがる。)



誰だって好きな人を取られたら悔しがるだろう。彼女の悲しんだ顔は、泉がこの世で最も望むものだ。



(まあでも当たり前の結果だね。私は幸せを掴むために頑張ったもの。

降って沸いてくる幸せを甘受しているだけと葵と違って、ね。)
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