君に届かない。
+...




秒針が時を刻む度に、心臓の音が静かな体育館裏に響く。ラブレターを貰った次の日の放課後、彼女は迷いなくここに来ていた。


ちなみに託けをくれた女子生徒__早川真琴(ハヤカワ マコト)__は、宣言通り黙っているようだ。

思春期女子特有の正義感かコミュニティ。彼女が優先するのはどちらか分からなかったが、前者だったらしい。




(私としても助かる。葵には直接伝えたいからね。そして勝ち誇ってやりたい。)


泉は熱でもあるのでは無いかという程顔を紅潮させている。いくら彼女が冷めた性格と言えど、想い人と付き合えるのだから当然といえば当然だ。



「ごめん、遅くなって……」




_____来た。



背後から掛かった声に振り向くと、整った顔立ちの大和は泉を見つめ、






「あれ、君は……誰?」




首を傾げた。
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