記憶の片隅に―I don't forget you―
第1章*2009年7月
夏休みに入った週末の金曜日。駅前は、サラリーマンや学生でごった返していた。


そんな群れから逸れた美波は、ボストンバックを片手に駅の階段を駆け上がった。 


手元の時計は、20時38分。発車まで、まだ余裕がある。


ここから地下鉄に乗り換えれば、新幹線の駅まで一駅だ。 


この分なら、間に合う。


でも、移動やこの暑さを考えると、電車は辛い。


一旦、行きかけた足を止め、タクシー乗り場へと引き返した。 




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