正夢

「行ってきます」
誰もいない家に響く声。



1人は慣れてる。
何度も自分に言い聞かせた言葉。
自分は可哀想だなんて思わない。
私は強く生きる。すこし大袈裟だけど、確かにそう誓った。

準備も終わり、くだらないことを考えながら学校まで歩く。学校まではそう遠くないので、15分程度で着く。とても助かることだ。



「るいるーい!!おはよう!」

教室に入って1番に話しかけてきたこのうるさい奴は牧野 沙耶華(まきの さやか)。
決して仲がいいわけではない。

「るいるい見てみて!これ凄いんだから!」





..............少なくとも私はそう思ってる。

沙耶華が見せてきたのは今朝、中国のとある実験施設が昨日(11/23)の午後に突然爆発したと知らせるニュースであった。それによると実験していたとある地方のウィルスが爆発と同時に世界にばらまかれた恐れがあるといった内容だった。

「ね!凄いよね!?近いし、予防とかしといたほうがいいよね?」

「そうしたほうがよさそうだね」







この時、気づくべきだった。

私はおかしいんじゃない。





今更、後悔が襲ってくる。
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