騎士
私とあなたの出会い…
私があなたにあったのは、今からちょうど、10年前。

私たちは、小学一年生だった。

_______________

『ねぇ、お嬢ちゃん。おじさんがお菓子おごってあげるから、一緒に車でお散歩しようよ』

私が友達と公園で遊び、帰ろうとしていたとき、タイミングを狙ったように30代後半っぽい見るからに怪しそうなおじさんに話しかけられた。

『え?お菓子買ってくれるの!?』

『うん。いくらでも、好きなだけ買ってあげるよ~』

何回も両親や祖父母に「話しかけられてもついていっちゃダメ!」とは言われていたけど、小学一年生だった私はただ単純に、[お菓子を買う]という言葉につられてしまっていた。

『だから、おじさんと一緒にきてくれないかな?』

『うん!』

そういって私は差し出されたおじさんの手を握り、一緒に歩きだす。

だけど、親たちからの嫌と思うほど言われてきた言葉を思い出し、歩みを止める。

『どうしたんだい?』
 
『おじさん、やっぱりいいや』

私は断ることにした。
< 1 / 18 >

この作品をシェア

pagetop