騎士

「…ん？あぁ。懐かしいな。ココ」

「うん…。そうだね」

私はあれからここにはあまり来ない。
まだ少し恐怖があるから…。
もしここの前を通るときは、翔と一緒でないと通らない。

あの出来ごとは私には負担が大きすぎた。
あのとき、翔が来てくれなかったらどうなってたか…

「…雪那、気にすんな。もし、またあんなことがあったら俺が助けてやる。だから安心しろ」

「……うん!!」

翔はいつも私のことを気にかけてくれる。
口は悪いけど、根はすごくいい奴なんだ。

「…私は、翔と出会えてよかったよ…」

私は翔に聞こえないように小さな声で呟いてみた。

「ん？なんか言った？」

「別に！」

明るく私は答えた。

「なんだよ～！」

またそんな他愛もない話をしながら今日もいつもどおりの道を通る。