騎士
『お菓子買ってあげるから、一緒に来てよ』
『お母さんやお父さんが、家で待ってるから。帰らなきゃ』
私はおじさんから手を離そうとする。
『……。』
だけど、おじさんは無表情で力を強めてくる。
『おじさん、痛い…っ!!』
『じゃあ、お菓子じゃなくて、楽しいことしようね…っ!』
そういって私の答えは聞かずにずんずん引っ張ってくる。
話しかけて来たときとは大違い。
まるで別人のよう。
ここで私は本当の恐怖に気がついた。